『労働基準法の一部を改正する法律案の概要』

 与党と厚生労働省が『労働基準法の一部を改正する法律案の概要』を発表しました。与党は今国会で改正法案を法案通りに進める予定で会期を延長してでも、法案を通す予定で進めています。

 

 職場にダラダラと残っても残業代がもらえない時代がやがて来る予感がします。 効率よく働く意識を企業が労働者に働く意識づけを与え長時間労働による健康被害を防ぐことを目的とし、ムダな残業代の削減にも繋がることになります。 

   

   今、話題となっている働き方は、午後8時以降の残業を強制的に廃止し、残った仕事は、会社になぜ必要なのか事前申告制(総務にメールで事前に申告)にした上で、翌朝7時~9時の間に行う制度の創設です。休日出勤や深夜残業がなくなり、残りの残業時間も翌朝2時間に限られるので、労働者に効率的な仕事を行う能力が求められます。

  どうしても消化しきれない仕事量がある場合は、ひとりではなく、チームを組んで、会社全体でカバーする仕組みを合わせて創設し、残業時間の削減に企業トップから意識改革して取り組むことが求められます。

『残業は必ず減らすことが出来る』この姿勢で取り組みましょう。

 

   もうひとつ政府と厚生労働省が目指す改革に、有給休暇の取得率アップが掲げられています。特に中小企業は必要最低限の人員で仕事を行っているため、有給休暇は各企業にとって取得率のアップは難しい課題です。 しかし、チームを組んで、会社全体で仕事量をカバーする仕組みを合わせて創設するなど、工夫しだいで、取得率をアップさせる努力を行いましょう。 法案通りになると、来年度から年5日は強制的に有給休暇を取得させる制度が必要となってきます。

 

   この解決策は年次有給休暇の計画付与の労使協定の締結を行うことが必要となります。会社が計画的に有給休暇を、5日分を除き、コントロールすることが可能です。 今回の法改正は、長時間労働の抑制と有給休暇の取得率を上げることを目的とした案と、フレックタイムや裁量労働制の規制を一部撤廃し、企業にとっても労働者にとっても、選択肢を増やす機会の拡大をはかっています。 次のページで改正される制度の内容をお知らせします。

 

 以下の文書は厚生労働省ホームページと日本経済新聞4月2日朝刊一面を、要約して、抜粋しています。

   <法改正の目的>

 

  長時間労働を抑制するとともに、健康を維持しつつ、能力を発揮しながら効率的に働くことができる環境整備のため、労働時間制度の見直しを行う等の改正を行う。

 

<長時間労働抑制政策・有給休暇取得促進策等>

 

H31年4月1日から施行 1.中小企業の月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金の見直し割増率を25%から50%以上にする中小企業への猶予を廃止する

       

  以下全て、H28年4月1日から施行

2.著しい長時間労働に対し、会社の健康配慮義務の明確化

3.有給休暇の5日分について、会社が計画的に付与させなければならない

4.企業が取り組む労使間の労働時間の改善処置労働時間等設定改善企業委員会の決議をもって、年次有給休暇の計画付与に係る労使協定に代えることができる

 

  <多用で柔軟な働き方の実現>

 以下全て、H28年4月1日から施行

1.フレックスタイム制度の見直し 清算期間の上限を1ヶ月から3か月に延長する

2.企画型裁量労働制度の見直し

   一定の専門知識をもって顧客の経営課題の解決を提案する営業職に制度を拡大する

   (一般の営業職は対象外)

3.高度プロフェッショナル制度の創設

   1075万円以上の年収がある労働者が、高度の専門知識を必要とする等の業務従事する場合に、健康確保措置、本人の同意を要件として、労働時間、休日労働、深夜労働の割増賃金の対象外とする制度

(在社時間が一定時間を超える場合、事業主は対象者に医師による面接指導を受けさせることが義務付けられる)